最近、アメリカのSeo業界では音声検索に注目が集まっています。
日本のGoogleで『音声検索』を検索すると329万ヒット(※2017年5月4日)に対して
アメリカのGoogleで『Voice Search』を検索すると4250万ヒット(※2017年5月4日)と大きな関心の違いが見て取れます。
音声検索とはAndroidのCMでよく流れている「OK Google」とスマホに話しかけることです。
Googleによると10代のアメリカ人の55%が音声検索を利用しています。(※2014年のデーターのため使用率は上がっている可能性あり)
またスマホでの検索の20%が音声検索を通しているようです。
この一連の流れを受けて、海外のメディアでは
音声検索で使われる検索クエリを分析し、音声検索の最適化の必要性を伝えているケースも多く存在しています。
日本でも音声検索は流行るのでしょうか?
また、より重要な質問は、日本市場でもPCやスマホでの音声検索のSeo対策を行った方が良いのでしょうか?
結論から言うと、日本での音声検索のSeo対策は、現状では時期尚早といえるでしょう。
その理由を、以下に順を追って説明いたします。
事実1:日本とアメリカの検索では音声検索とウェブ検索の結果は、どちらも半分以上同じ内容が表示される。
ここでは、音声検索とウェブ検索による、日本とアメリカのGoogleの検索結果の違いを検証します。
例えば、あるユーザーが『恵比寿のおしゃれなカフェを知りたい』という意図をもっているとします。
音声検索時には『だれ』、『どこ』などではじまるロングキーワードが多いので
スマホでは『恵比寿のおしゃれなカフェはどこ』と音声検索し、
パソコンでは通常の『恵比寿 おしゃれカフェ』とそれぞれキーワードを入力(発声)したとします。
下の図が二つの結果をまとめたものです。
同じコンテンツでも検索順位が違う結果になっています。
この比較では10件中7件の同じコンテンツがトップページに表示されていますが、掲載順位はバラバラでした。
おなじように渋谷や青山とキーワードを変えて検索しましたが、似たような結果でした。
(※ちなみに上の図ではPC版にGoogleマップが表示されていますが、他の比較ではスマホでの音声検索にもGoogleマップが表示される場合があります)
また話し言葉でPCに検索をかける人や、テキストのような断片的なキーワードでスマホに音声検索を使う人もいると考え、
先ほどの『恵比寿のおしゃれなカフェはどこ』と『恵比寿 おしゃれカフェ』といった同じフレーズ同士を比較してみました。
先ほどの比較に比べて、トップページに表示されるコンテンツと掲載順位は同じでしたが、
スマホではサムネイル画像付きの表示が出てきました。
同じフレーズでもPCとスマホでは多少の違いがあるようです。
一方アメリカのGoogleから似たような実験をしましたが、同じような結果でした。
事実2:日本の10代全体の音声検索率は34.5%。アメリカ人の10代と比べて低い結果に。公共の場でのマナーに反するなどが理由。
ここでは、実際に日本人がどれくらい音声検索を使っているのか調べてみました。
日本テレビが2016年4月27日に放送した、日テレNEWS24内の「音声入力」のコーナーによると、
日本の10代男女の全体の音声検索の利用者は34.5%、10代から60代男女の全体では33.6%にとどまっています。
アメリカでは10代の55%以上が音声検索を使用していることと比べると、その差がはっきりとしています。
アメリカ人がスマホで音声検索を使用する理由としては、10代、アダルト層共に70%前後が『かっこいいから』、『未来的だから』
と上げているのに対して、日本人10代と全体のスマホで音声検索を利用したくない理由の回答は
『内容を他人に聞かれたくない』が36.5%、
『公共の場でマナーに反する』が26.5%となっています。(※複数回答)
私自身も時折、スマホで音声検索は使用しますが、大体人がいないときか自宅でしか使用しません。
おそらく日本人は、他人の目を気にして音声検索を利用したくないと考えているのでしょう。
また音声入力を使用しない理由としては、10代の60%近くが『他の入力の方が早い』
15%近くが顔文字などを入力できないことを理由に挙げています。(※複数回答)
アメリカに比べて日本では、文化の違いから音声検索にそこまで積極的ではないようです。
事実3:現時点では、日本のスマホでの音声検索でダイレクトアンサー*の表示は見当たらないため、
音声検索へのSeo対策をする必要性はない。
*ダイレクトアンサーとはGoogleにあるキーワードを検索した場合、コンテンツの検索順位とは別に
ウェブページの上部に検索キーワードに対しての答えを表示する機能のことです。
音声による回答もダイレクトアンサーに含まれています。
表示されやすい回答としては『アメリカの首都は』や『現在の東京の天候は』などの
直接的な答えが存在するものが表示されやくなっています。
例えばですが、『恵比寿の美味しいお店はどこ』とユーザーがスマホで音声検索をしたとします。
その際にダイレクトアンサーとして特定のお店がユーザーに音声で紹介される、
または先ほどの画像のような答えが表示されるとどうなるでしょうか?
ユーザーはその下の検索結果を見ずに、ダイレクトアンサーで答えられたお店に行く可能性が高いのではないでしょうか。
ダイレクトアンサーが今後発展していくと、自社サイトへの流入が大きく減少する可能性があります。
しかし今回の音声検索の調査では、ダイレクトアンサーによる表示は見当たりませんでした。
Google マップとマイビジネスは音声検索に限らず表示されるので、特に音声検索に対してのSeo対策は必要ないと思います。
事実4:スマホでの音声検索の検索意図を理解する精度が低い。
日本のGoogleに『青山のおしゃれなカフェを教えて』などをスマホで音声検索すると、
検索意図とは関係ないアルバイトの情報がトップページに出てきました。
(※赤で囲っているところがアルバイトの情報)
もちろんテキスト検索でもページの順位が下がるとアルバイト情報がでてくる場合もありますが、
音声検索よりもかなり後のページに表示されます。
一方、アメリカでは『tell me cool coffee shop nyc』と『cool coffee shop nyc』を比較しましたが
、検索意図に外れる結果が出てきません。
『Hollywood』などでも試してみたが、同様の結果。
つまり、2017年5月4日時点では、日本の音声検索はアメリカの音声検索より精度が低い可能性がありそうです。
せっかく音声検索対策をしても反映されない可能性が考えられます。
以上の4つの事実をまとめると、
・音声検索とテキスト検索では表示内容に差がでてくる。
・しかし日本人はアメリカ人に比べて、人前で音声検索をすることにためらいを感じている。
アメリカ人ほど積極的に活用したいと考えている人が少ないと推測されるので、自社サイトに音声検索の対策をする必要性がそこまでない。
・現時点では、日本の音声検索にダイレクトアンサーの表示はなく、検索意図を理解する精度が低い可能性があるので、
音声検索対策に時間をかけなくてもよいと考えられる。
ここにもう一つ理由を加えると、Googleのアルゴリズムの発展を付け加えられます。
検索意図を重視して、ユーザーの求めるものを上位に挙げるという姿勢がある限り、
特にスマホやPCでの音声検索にこだわった対策はそもそもあまり意味がないと思います。
よって私としては海外の記事を参考に日本では音声検索へのSeo対策をする必要はないと思います。
たとえ音声検索が増えたとしても、今まで通りユーザーの意図を理解したキーワードリサーチ、
コンテンツ対策をしっかりと行い続けることが重要だと考えられます。
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