
Googleはかなり前からHTTPSを支持し、サイトオーナーに導入を推奨してきました。さらにGoogleはHTTPSをランキングアルゴリズムのシグナルにすることにより、SEO業界がセキュアなWebサイトを優遇することで、HTTPSの知名度を向上するようにしました。
中国はこの点で、より安全なプロトコルを採用している他の主要オンライン市場に遅れをとっていました。Baidu検索エンジンクローラーやSina Weibo共有APIなど、多くの主要オンラインサービスは、HTTPSプロトコルとの互換性がありません。BaiduはHTTPSページに対応しておらず、またHTTPSオプションがないためサードパーティAPIによって暗号が解析されます。このため、もしWebサイトを完全にHTTPSに移行すると、ランキングが下がってしまいます。Googleのこうした姿勢から利益を得るためには、中国市場に対応するだけでも、代替ソリューションを見つける必要があるため、多国籍企業がグローバルWebインフラストラクチャをHTTPSに移行する上で、この点が大きな障害になっています。しかし、状況は現在改善されつつあります。Baiduは、2016年5月25日、同社のWebクローラ(スパイダー)がHTTPSのクローリングとインデックスに完全に対応したことを発表しました。つまり、今後セキュアプロトコルを使用しても、インデックスが付与されない問題がなくなりました。むしろHTTPSページには優先順位の高いインデックスが与えられます。また、ランキングが同様のサイトの場合、HTTPSサイトが優遇されることも確認しました。これは、2014年にGoogleが確認した内容と類似しています。
この変更により、HTTPSバージョンとHTTPバージョンは1つのサイトとして扱われるようになります。実際、弊社のテストでは、Baiduの検索結果ページにURLがHTTPとHTTPSのどちらなのかが表示されませんでした。この結果、論理的にHTTPページとHTTPSページは相互の重複ページとみなすことができるようになります。ウェブマスターがセキュアなHTTPSプロトコルの特長を活用したい場合は、HTTPページから対応するHTTPSページに301リダイレクトを設定して、サイトを完全なHTTPSサイトに移行することになります。
Baidu Webmaster Toolsでは、この変更をサポートするため、HTTPS検証を実行できるようになりました。これにより、多国市場Webサイトの悩みが多く解消されるでしょう。これまで企業はBaiduスパイダーのためだけに、HTTPミラーサイトを構築していました。そして実際の閲覧者のためには301リダイレクトを設定し(ユーザーエージェントがBaiduスパイダーではない)、セキュリティのためHTTPS Webサイトにリダイレクトしていたのです。今後は、Webサイトを完全にHTTPS対応にするのが随分と簡単になります。そしてインターネットの大手市場の1つである中国がネットセキュリティの向上に貢献できるでしょう。